急性肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症を合併発症し死亡した事案で1100万円の損害賠償金を獲得できた事例
事案の概要
急性肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症を合併して発症した患者に対し、外来診察を担当した医師は、入院でのヘパリン治療ではなく、ワルファリン治療を選択して帰宅させました。ところが、その後、塞栓子の中枢進展を起こし、肺塞栓症による心原性ショックのため、患者は死亡しました。そこで、医師の判断に誤りはなかったのか、疑問に感じた患者の遺族からご相談を受けたという事案です。
弁護士の方針・対応
【訴訟】
入手した医療記録に基づき、相手方(病院および担当医)に責任があると判断しました。そして、調査段階において担当医が自身の非を認めない態度を遺族に示したことや、依頼者である遺族が公開法廷で事実関係を明らかにしたいと望んだことから、訴訟提起する運びとなりました。
具体的には、患者からの主要な訴えやCT画像所見等からして、医師は患者に対して直ちにヘパリンを投与すべき注意義務を負っていたにもかかわらず、これを怠った過失により、患者を死亡させたとして、不法行為または債務不履行に基づく損害賠償を請求しました。
結果
尋問を含めて17回の期日を重ねていったのですが、毎回、膨大な量の準備書面や証拠をそろえて臨んでいました。こうした念入りな調査や下準備が実を結び、初回相談を受けてから約3年半、提訴してから約2年5ヶ月の期間を経て、訴訟上の和解が成立し、1100万円の損害賠償金を得ることができました。
なかでも、相手方が提示した医学意見書に対し、細かく指摘・反論をした準備書面が、裁判所の心証を依頼者有利に傾かせることに繋がったのでしょう。
さらに、本事案では、損害賠償金を得られたばかりか、担当医から謝罪を内容とする直筆の手紙を取得することができました。
この記事の監修
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