僧帽弁置換術後、抗凝固薬ワルファリンカリウムによる凝固能管理を受けていた高齢患者が、皮膚疾患治療のためセフェム系抗菌薬等の投与を受けたところ、PT-INR異常高値(9.51)を示し、その9日後に脳出血を発症し、常時要介護状態で症状固定したことについて、1億2000万円余の和解が成立した事例
事案の概要
僧帽弁逆流症の既往がある患者は、過去に僧帽弁置換術の施行を受け、その後、ワルファリンカリウムによる凝固能管理を受けていました。患者は、左右の踵周囲に発疹の症状を生じ、相手方病院を受診しました。相手方病院の医師は、患者を多型滲出性紅斑と診断し、セフェム系抗菌薬を処方しました。その後、患者のPT-INRが徐々に上昇し、9.51に達しました。患者はPT-INRが9.51に達した9日後、脳出血を発症し、常時要介護状態で症状固定しました。
弁護士の方針・対応
弁護士は、任意開示によって相手方病院のカルテを入手し、調査を行った結果、有責との結論に至り、訴外交渉を行うこととしました。
当方において、ワルファリンカリウムとセフェム系抗菌薬との併用注意、併用された場合にPT-INRが上昇する機序など、調査によって得た医学的知見を基に、32頁にも及ぶ詳密な交渉文書を作成しました。
結果
その結果、相手方に訴訟へ発展し敗訴するリスクを覚えさせることに成功し、1億2000万円余(患者に対する終生の役務提供を含む)の和解を成立させることができました。
この記事の監修
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