腰背部痛を訴える骨粗鬆症患者に対し、整形外科医が骨折無しと診断し適切な治療を行わなかったため脊髄を損傷し、呼吸器感染症により死亡し、500万で訴訟上の和解が成立した事例

事案の概要

自宅の階段から転落後に、腰背部痛を訴えてかかりつけ医を受診した高齢の骨粗鬆症患者に対し、整形外科医が単純レントゲン検査のみをもって新鮮骨折無しと診断し、固定や安静保持を指示しませんでした。その後、入院中も腰背部痛の主訴が日々あったにもかかわらず、MRI検査を実施せず、かえって歩行等をさせたため、骨折箇所付近の胸髄が損傷するに至り、遷延した後、呼吸器感染症により死亡した事案です。

弁護士の方針・対応

まず、任意開示によって、相手方病院より医療記録を入手しました。これを基に、医学的見地および法的見地から調査した結果、相手方病院の対応には過失があるものと判断しました。しかし、因果関係について、過失と結果との間に、明確な因果関係を認めることが難しく、相当程度の可能性にとどまるのではないかとの見通しでした。ただ、依頼者である遺族は、裁判所による審理・判断を望んだことから、訴訟を提起しました。

結果

訴訟においては、以下の点を重点的に主張しました。

① 相手方医師が、初回の受診時に、亡患者の年齢、既往(骨粗鬆症)、X線画像所見等に鑑み、MRI検査によって新鮮骨折があるか否かを鑑別すべき注意義務を負っていた
② 相手方医師が本来の義務を履行していれば、その後に脊髄が損傷し、患者が死亡に至ることはなかった

主張立証を尽くした結果、500万で訴訟上の和解を成立させることができました。

この記事の監修

弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員  医学博士 弁護士 金﨑 浩之
弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員医学博士 弁護士 金﨑 浩之
東京弁護士会所属。弁護士法人ALGでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。

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