胎児心拍数波形のレベル4ないし5が長時間持続していたにもかかわらず、急速遂娩の準備なく経過し、その後の帝王切開の実施までにさらに長時間を要した結果、児が脳性麻痺となったことについて、1億5000万円の示談が成立した事例
事案の概要
無痛分娩にて分娩が経過していたところ、回旋異常があり、頻回の変動一過性徐脈がみられていました。その後も、CTG上、胎児心拍数波形のレベル4ないし5が持続していたにもかかわらず、急速遂娩の準備なく経過しました。さらに、吸引分娩3回が実施するも分娩に至らず帝王切開の方針となったところ、吸引分娩の開始から考えても1時間経過後に帝王切開が実施されました。
帝王切開にて生まれた児は、低酸素脳症を発症しており、脳性麻痺の障害が残ってしまいました。
弁護士の方針・対応
吸引分娩前の胎児心拍数波形のレベル4ないし5が持続していた時点から、すでに急速遂娩の準備及び実施が必要であり、それが実施されば児が脳性麻痺になることはなかったと主張して、損害賠償の交渉を進めることにしました。問題となる波形が長く持続しているにもかかわらず帝王切開が実施されていないと考えられたため、交渉において医療機関側も責任を認める可能性があると考え、手続きを進めました。もっとも、仮に、相手方が責任を否定するのであれば、訴訟に移行することを検討していました。
結果
医療機関側は、交渉において、当方の主張である、本件より早期に帝王切開を実施すべきであったことを基本的には認め、損害額の調整の話し合いとなり、相手方に責任があることを前提とする1億5000万円での示談となりました。
この記事の監修
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