手術中の体内に留置されたサージセルによって脊髄損傷を来し、敗血症で死亡した患者に対して、医師の注意義務違反が争われ、賠償金2500万円で訴訟上の和解が成立した事例
事案の概要
肺癌(扁平上皮癌)の手術中、肋骨頭を切離した際に出血を生じたことから、可吸収性止血剤(サージセル)を肋間に詰め込んだところ、この止血剤が椎間孔を経由して脊柱管内の脊髄を圧迫したことにより脊髄損傷を来し、敗血症により死亡した事案です。
不法行為または診療契約の債務不履行に基づき相手方病院らへ損害賠償を請求しました。
弁護士の方針・対応
【調査→交渉→訴訟】
弊所へのご依頼前より、亡患者の遺族に対して、相手方病院より500万円の提示がありました。しかし、500万円が相当であるかについて、医学的見地および法的見地から調査した結果、相手方病院の対応には過失があり、提示額についても相当ではないと判断しました。
その後、相手方病院の従前の態度に鑑みて、訴外交渉で当方の意図する額を得る見込みは乏しかったため、訴訟提起を行いました。
訴訟の中では、相手方医師らが、①サージセルが椎間孔内に挿入され又は迷入することを避けるべき注意義務(サージセル挿入・迷入避止義務)、②止血を確認したうえサージセルを除去するべき注意義務(止血確認およびサージセル除去義務)を負っていたこと、③仮に、各義務のいずれかが履行されていれば患者が敗血症により死亡することはなかったことを主張しました。
結果
訴訟においては、過失・因果関係・損害が争われましたが、訴訟提起から2年10ヶ月間に尋問を含め16期日を重ねた結果、患者側実質勝訴の和解が成立し、2500万円の賠償金を獲得することができました。
本件手術時に留置されたサージセルが、脊柱管内へ迷入したとの相手方病院らの主張を弾劾するために、140ページを超える主張書面を起案し、膨大な量の証拠を裁判所へ提出したことや、相手方医師らへの尋問に力を尽くしたことによって、裁判所の心証が患者側有利に固まったものと思われます。
また、依頼者らが望んでいた、相手方からの謝罪もあり、さらに病院が再発防止のために努めることを約束してくれました。
この記事の監修
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東京弁護士会所属。弁護士法人ALGでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。
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