産婦人科

産婦人科の紛争は多いこと

産婦人科は、大切なお子さんに重度の後遺障害が残存するケースもあるため、深刻な紛争になりやすい傾向があります。実際に産婦人科の医師一人当たりの訴訟件数は、他の診療科よりも多い状況が続いています。

また、未だにいわゆるリピーター医師の事案も散見されます。問題のある行為が繰り返されるため、搬送先の基幹病院の小児科医の先生が怒っておられるケースもあります。

他方で、産婦人科の医師の労働時間は長いと言われておりますし、出産は昼夜を問いません。出生という人生の重大事を担って頂いている産婦人科医の先生は本当に尊敬するべき存在です。そして、大多数の真面目な医師にとって一部の医師の暴走は迷惑なことです。

当職らは、このような産婦人科の状況に鑑みて、法的な責任を明らかにすることで、個別の事案について十分な補償を実現し、同時に将来の不幸な事案を減少させることを目指しています。

産科医療補償制度について

紛争の多い産婦人科の状況を改善するために、産科医療補償制度が設けられております。補償金の額は、一時金600万円と分割金2400万円の合計3000万円です。また、訴訟では損害賠償請求が認められないと思われる事案でも、産科医療補償制度の補償金が支払われることはあります。小児科や脳神経外科の医師に相談した上で申請が可能である場合には、極力申請して頂いた方が良いと思います。

産科医療補償制度を利用した場合には、原因分析報告書という書類が作成されます。原因分析報告書には、経緯、脳性麻痺に至った原因、再発防止策等が記載されています。原因分析報告書の内容が直ちに判決の基礎になる訳ではありませんが、法的責任の有無を判断する一資料としても有用です。

CTGについて

産婦人科の事案では、胎児心拍陣痛図(Cardiotocogram。以下「CTG」と言います。)が重要になることが多いです。CTGは胎児心拍数と子宮の収縮圧を経時的に記録したものです。CTGの波形によって母体内の胎児の状況を推測できると考えられています。例えば、緊急帝王切開に踏み切る時期が遅れた疑いのある事案においては、CTGは過失の有無を左右する重要な証拠になります。

臍帯血pHについて

産婦人科の事案では、臍帯血pHも重要になることが多いです。胎児が苦しい状態になると、血液は酸性に傾いてきます。この性質を利用して、分娩前や分娩中の胎児に十分に酸素がいきわたっていたかどうかを推測することができます。因果関係の判断において臍帯血pHを参考にしている裁判例も複数存在します。

証拠保全について

産婦人科の事件においても事案によっては証拠を保全することが大切です。証拠保全について平易に説明すると、裁判官が突然病院に記録を見に行くことで改竄や隠蔽の恐れを少なくする手続きのことです。証拠保全の期日において、患者側代理人がCTGを特定して要求しないと、病院側がCTGを開示してこないこともありました。産婦人科に限らず、電子カルテが導入されていても記録の一部が開示されていないことは多いので、重要な証拠に漏れがないか確認することが大切です。

この記事の監修

弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員  医学博士 弁護士 金﨑 浩之
弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員医学博士 弁護士 金﨑 浩之
東京弁護士会所属。弁護士法人ALGでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。

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